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クルマ好きには“クロス”よりコッチがシックリ?三菱のスポーツクーペこと“タダの”エクリプス【推し車】

SUVじゃないよ!スポーツクーペのエクリプスだよ!

映画「ワイルド・スピード」第1作序盤で見せ場を作り、壮絶に散ったこともあって記憶に残る2代目エクリプス

2023年9月現在も三菱で販売されているSUV、「エクリプスクロス」のクロスとはSUVを意味するとして、ならばクロスじゃないエクリプスがあるのか、ヤリスクロスやカローラクロスみたいに…といえば、昔はありました。

もっとも、車名が同じだけでエクリプスとエクリプスクロスが同時に販売されていたことはなく、「ただのエクリプス」は北米生まれの2リッター級2ドアクーペ

人気車とはいえませんでしたが、RVブームと並行してスポーツクーペにも力を入れていた1990年代の三菱を象徴するクルマのひとつで、GTOやFTOと異なり3回もモデルチェンジされ、初代から3代目までは日本で販売していました。

MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にもノミネートされるほどで、新車販売当時は案外街で見かけたものです。

4G63ターボ4WDもアリ!左ハンドルだけの初代(1990年)

スタリオン→GTOの弟分として手頃なサイズと、雰囲気もしっかり受け継いでいた初代エクリプス

1980年代半ば、スタリオン以外にも北米で売りとなる小型スポーツクーペを欲していた三菱は、当時提携していたクライスラーへもOEM供給する見込みでFFベースで共同開発、1.8~2.0リッター級クーペとして1989年に発売したのが初代エクリプス。

クライスラーにも「プリムス レーザー」や「イーグル タロン」としてOEM供給したほか、RVブームの波に乗って国内第3位、バブル時代でも不調だった日産を追いつけ追い越せ…だった日本市場にもアメリカで生産して輸入し、1990年に発売しました。

日本で販売したのはいずれも2リッターDOHCエンジン4G63搭載車で、自然吸気仕様(140馬力)の廉価グレード「GS」は平凡でしたが、ターボ仕様(200馬力)の「GSR-4」はその名の通り4WDターボ版。

まだランエボがなかった頃ですから、ギャランVR-4の2ドアクーペ版みたいなクルマで、左ハンドルしかなかったとはいっても、ホンダがUSアコードワゴンやアコードクーペを北米から左ハンドルのまま輸入して人気だった頃なので、当時としてはさほど違和感ナシ!

筆者の同級生もGSR-4に乗ってましたが、リトラクタブルヘッドライトでGTOほどデカ重いを感じさせず、なかなかイイクルマを買ったなと思ってました(北米仕様はマイナーチェンジで固定式ヘッドライト化したが、日本人ウケしなさそうなデザインだった)。

1990年代三菱クーペの真髄と言えるデザインな2代目(1995年)

2代目エクリプスのスパイダーは4G63ターボ搭載で、小型4シーターオープンとしては動力性能も抜群

1994年には2代目へモデルチェンジして翌年日本でも発売、その頃にはFTO(1994年)が吹け上がりのいい2リッターV6エンジン6A12を搭載、高性能グレードではリッター100馬力に達する200馬力を発揮しており、2代目エクリプスと若干カブっています。

ホンの少しエクリプスの方が大柄で、エンジンも2リッター直4の4G63ターボ(230馬力)と性格は分けており(残念ながら4WDターボ車の国内販売はなしでFFのみ)、翌1996年には4シーターオープンの「エクリプススパイダー」も発売しました。

いかにもアメリカ生まれの陽気でグラマラスな曲面美のクーペ、だからこそスパイダーも西海岸の雰囲気を味わえるオープンカーとして、初代に引き続き左ハンドル車しかなくとも存在感のあったクルマで、見かける台数の割に記憶に残りやすいクルマです。

ガンダムチックな直線基調デザインの印象が強い三菱にあって、クーペだけはGTO、FTO、ミラージュアスティなど三菱らしからぬ曲線美が目立ちましたが、そのど真ん中に生まれた2代目エクリプスは、FTOともども当時の三菱クーペを象徴するようなデザインでした。

日本ではクーペ人気の急落もあってか販売台数が振るわなかったようで、この代をもって一旦エクリプスの輸入販売は終了。

しかし映画「ワイルド・スピード」(2001年)序盤に登場、壮絶な最期を遂げた同車を見て、懐かしい!と思った読者の方も多いのでは…実際はその前年まで販売されていたので、懐かしいというほど古くもなかったのですが。

強い要望に応えスパイダーのみ輸入再開した3代目(2004年)

ものすごくカッコよかったのに三菱の不祥事で発売が遅れスパイダーのみ…もし不祥事がなくてもクーペ不況で売れることがなかっただろうとはいえ、当時これだけカッコいいスポーツカーを作れたのだから、大したものではあった

1999年に北米でモデルチェンジした3代目エクリプスも、順当なら翌2000年頃には日本で販売されてもおかしくはなかったのですが…2000年7月に三菱でリコール隠し事件というスキャンダルが発覚した影響もあってか、エクリプスの話などパッタリ聞かなくなります。

クーペ人気の急落もあって台数は出なかったかもしれませんが、当時の自動車メディアでは北米でモデルチェンジした3代目エクリプスのデザインが称賛され、国内販売を待ち焦がれる声があったのも事実。

しかしその三菱が急激に失速、今の日本市場では「デリカ屋さん」も同然の凋落となるキッカケとなった不祥事で、三菱は国内でのクーペ販売継続を断念、GTOやFTO(ミラージュアスティも)消えていく中で、エクリプスが存続するわけもありません。

しかし2004年10月になってようやく、3リッターV6SOHCエンジン(196馬力)のスパイダーのみという限定的な形ながら輸入を再開、2006年4月までわずか1年半ばかりの販売期間ながら、国内ブランドとしては貴重な最新4シーターオープンとして歓迎されたのです。

北米では2005年に4代目へとモデルチェンジしますが、全長こそ4,565mmへ抑えたものの全幅1.8m超えの巨体に3.8リッターV6(あるいは2.4リッター直4)を積む、日本の基準ではバカでかい大排気量クーペになっており、もう輸入販売されることはありませんでした。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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